紳士的上司は愛を紡ぐ
「嬉しかった。再会出来たこともそうだけれど、それ以上に、あの球場で澄み切った声を発したあの子が、
そのままアナウンサーとして後輩になるなんて、全く想像していなかったから。」
夢を追い続けてきた自分を、彼はこんなにもすぐ傍で見ていてくれたのだ。
「どうして、言ってくれなかったんですか?」
驚きと共に、純粋な疑問が浮かぶ。
「言えるはずないだろう?
ただの高校球児だった俺が、君に憧れてアナウンサーになりました、なんて。」
照れているのか、急に砕けた口調で話す彼に、鼓動が動き出すのを感じる。
「だから、早く君に憧れてもらえる上司になりたかった。7年経ってやっと、共演する日々が来て……
好きだという気持ちが溢れて困った。」