紳士的上司は愛を紡ぐ
*
「あの〜、八王子アナ……?
そろそろ離してくれませんか。」
互いのぬくもりに触れ、暫くその状態でいると、次第に冷静になってきた私には恥ずかしさが襲う。
「駄目です。
俺、今この世で一番幸せな時間なんで。」
魅惑の声が、愛の言葉を紡ぐ。
耳元で呟く彼は、きっと確信犯だ。
「でも、もう恥ずかしすぎて……
心臓、変なんです。顔も絶対変だしっ。」
真っ赤に染まっているであろう顔を伏せ、小さな声で応戦してみる。
すると、くすっと笑った彼の腕が緩んだ。
「……じゃあ代わりに、キスしていい?」
「え?」