紳士的上司は愛を紡ぐ



「あの〜、八王子アナ……?
そろそろ離してくれませんか。」

互いのぬくもりに触れ、暫くその状態でいると、次第に冷静になってきた私には恥ずかしさが襲う。

「駄目です。
俺、今この世で一番幸せな時間なんで。」

魅惑の声が、愛の言葉を紡ぐ。
耳元で呟く彼は、きっと確信犯だ。

「でも、もう恥ずかしすぎて……
心臓、変なんです。顔も絶対変だしっ。」

真っ赤に染まっているであろう顔を伏せ、小さな声で応戦してみる。

すると、くすっと笑った彼の腕が緩んだ。


「……じゃあ代わりに、キスしていい?」

「え?」

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