紳士的上司は愛を紡ぐ


いやいや、待って下さい。
さっき恥ずかしいからって言ったのに、さらにハードル上げるんですか。

「ちょっとだけ、心の準備を……!」

「却下。待てない、
もう君が可愛いくて仕方ないから。

俺が、今までどれだけ我慢してたかなんて、知らないでしょう?」

サラリと言ってのける彼に驚く。
紳士的な口調とは裏腹に、顎に添えられる手は少し強引で。

ぐっと上を向けられ、正面から見つめ合う。

長い睫毛が伏せられるのに釣られて、
私もそっと目を閉じた。

先日の深夜のオフィスで交わしたものとは比べ物にならないくらい、重なった唇が深く、熱く
角度を変えて何度も交わる。

彼の手が後頭部に回り、固定される。
たとえ、どれほど恥ずかしくても離れることを許さないというように、彼との距離はゼロを保ったままだ。

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