紳士的上司は愛を紡ぐ

"距離を置こう"
そう言われているような気がした。

「それは、どういう表情……？」

負の思考が顔にも出てしまったんだろう。
八王子アナは、私の反応を伺う。

「それって……つまりは、
"私と距離を置きたい"って事ですか？」

返答を聞いた彼の瞳が大きく見開かれる。

「私が職場で公私混同してしまったのなら、謝ります。直す努力もします。だからっ……

私のせいでそう思わせてしまったら、
ごめんなさっ「違う。そんなつもりじゃない。」」

彼が焦ったように話を遮る。
はぁと溜息をつく彼に、怒らせてしまったのかと思い、じわりと涙が滲んできた。

こういう時、彼の言葉にすぐ舞い上がったり、焦ったりする自分に嫌気が指す。もっと普段のように、安定した自分でいられたらいいのに。