紳士的上司は愛を紡ぐ

「誤解させてしまった、ごめん。そういう事じゃない。むしろ公私混同してるのは俺の方。」

隣に座る彼がこちらを向いて頭を下げる。

「実は……
"大切な人がいる"って言ってから、思っていた以上に週刊誌の張り込みがしつこくてね。

同じ社内だとバレるのも時間の問題だし、その時にはEBSに迷惑をかけてしまう。」

確かにその点に関しては自身も懸念があった。

「せめて俺がフリーに転向したら、社内のリスクは減るし、スケジュールも合わせやすくなるから、麻里との時間も作れる。

距離を置きたいんじゃない。もっと麻里のことを大切にしたいから、決めたんだ。」

視線を上げ、真剣な瞳でそう告げる彼に、全身の力が抜ける。

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