紳士的上司は愛を紡ぐ
大きな球場に響いた、自身の声。
今思い出しても、あの夏の熱気は自身の背中を押してくれる。
もっと沢山の人に、私の声で何かを伝えたい。
その希望と共に、走り続けた3年間。
しかし、やがて高校3年生でアナウンスの全国大会に出場するも、結果は予選落ち。
上には上がいる、ということを痛感した。
ただ、夢を諦めることなど出来なかった。
その後教養を身につける為、国立大へ進学し、アナウンススクールにも通った。
───そして、念願のアナウンサーという夢を叶え、もう7度目の秋。
安定志向の強かった自分が、よくここまで不安定な冒険に挑んだなと思う。
だからこそ、この夢を実現させた以外に、もう私は何もいらない。