紳士的上司は愛を紡ぐ

「私が適任……とは一体?」

打ち合わせを終え、会議室からアナウンス室へ戻る際、隣を歩く八王子アナに尋ねる。

「言った通りの意味ですよ。
私は『サタデープリンス』の中でも、ゲストと本音トークを繰り広げることは出来る。

ただ、さらにトークを面白くするには、そこで冷静に相手を掘り下げる人も必要かと。」

私に微笑みかけながら、八王子アナはそう話した。あの人気番組を担当しながら、まだそういった改善点を見つけられるのかと驚く。

「そこで、その冷静に切り込んでいくのが、私の役割だということでしょうか。」

「そういうこと。期待しています。」

彼がそう言ったと同時に、アナウンス室の前に着いた。

そのまま入ろうとする私とは違い、八王子アナは他にスポーツ番組のキャスターもしている為、またスタジオの方へと向かう。
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