紳士的上司は愛を紡ぐ
私自身、深夜ニュース『Weekdays night』は、放送直前に原稿を受け取る為、全てのアクセントを確認している暇はない。
しかし、今回のように時間のある限りはアクセント辞典を引くようにしている。
視聴者に対しても、読ませてもらう原稿に対しても真摯に向き合うのが、アナウンサーの何よりの仕事だと思っているからだ。
その理由と同じくらい、もうすっかり習慣付いてしまったこの行為自体が落ち着くということもあるけれど。
「普段、午後"10時"には何をされているのか教えて頂けますか?」
語尾は音程を下げつつ、暗い印象は与えないように。質問事項を読みながら、イントネーションを確認する。
たとえ読む場所が『8+2=』に変わっても、アナウンサーとしての務めは最大限に発揮するしかない。
そう決心して、分厚いアクセント辞典の表紙を閉じた時。
「アク辞、引いてるんですか?」