紳士的上司は愛を紡ぐ
「高校からアナウンスをしている二宮アナにそう言って貰えるのは、素直に嬉しいです。」
彼は照れつつも、本から私へと視線を移す。
「八王子アナ、ご存知だったんですか?私が高校からアナウンスをしていたこと。」
これまで共演番組が無かった為、お互いについてはほとんど何も知らない。
私が高校から続けていると知っているのは、せいぜい涼子と室長ぐらいだと思っていた。
「あぁ……そうですね、偶然知って。
あと、『Weekdays night』もよく観てます。
二宮アナの正確な読みは、きっと視聴者の方にも伝わるんだろうなぁと参考にしてました。」
まさか、八王子アナにここまで言われるとは。朝の番組を担当する彼は、深夜ニュースなど観ていないと思っていた。
「八王子アナは、大学からアナウンスを始められたんですか?」
私は褒められたのが照れくさかった為、すぐに話題を逸らしてしまった。
「そうですね、高校はずっと野球をしていて。大学になってからアナウンサーを目指し始めたんです。」