紳士的上司は愛を紡ぐ

「失礼致します。はじめまして。
本日、『8+2=』でご一緒させて頂きます、
EBSアナウンサーの 八王子 透と申します。」

「同じく、二宮麻里です。お願い致します。」

八王子アナに続いて、精一杯挨拶をする。

「神谷 陽子です。お願いします。」

そう言って彼女は、優雅に笑った。
笑顔を見せて頂けたことに、少し安心しながらもやはり風格に圧倒される。

「私、楽しいトークじゃないと嫌よ。」

神谷さんは私達を見て笑いながらも、そう言って送り出した。

「…………。」
これは、プレッシャーでしかない。

楽屋を出た後、私は少しほっとしたと同時に直前に控える本番に対して、先程より足が震え始めていた。

「緊張してます?」

おそらく表情にも出ていたのだろう。
隣に立つ八王子アナが、私の顔を覗き込んでそう尋ねる。

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