紳士的上司は愛を紡ぐ

ただ、どの番組であれ、
私は一人のアナウンサーで。

まずはしっかり話す相手に、伝えよう。

初心を思い出し、八王子アナの目を真っ直ぐ見つめ返す。

「……私らしく、頑張ります。」

その言葉に彼は、安心したように頷いた。




眩しい照明、活字の並ぶ原稿。
観覧席には、一般の番組観覧の方も来ている。
隣には、人気アナウンサー。

「さぁ、始まりました『8+2=』(TEN)!
司会は私、八王子 透と、」

「二宮 麻里 です。宜しくお願い致します!」

───今ここで、私の精一杯を尽くそう。

「今日お迎えしたゲストは、大人気女優、
神谷 陽子さんです!」

観覧者の歓声と共に、衣装を見に纏った神谷さんがスタジオに登場する。
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