紳士的上司は愛を紡ぐ

「うーん、"10時"ではないけれど、八王子アナの出演されている番組も観てますよ。

だって八王子アナ、ハンサムだから(笑)」

神谷さんは、おどけたようにそう返した。

「ありがとうございます。私もぜひ来週公開の映画観に行きますね。」

言われ慣れているのか、全く動じずサラッと神谷さんの映画を宣伝する彼には感心する。

「お二人は逆に、その時間は何をされているのかしら?」

神谷さんの方から、台本にはない疑問が飛ぶ。
私は、収録中に自分の意見を言う機会が少ない為、思わず面食らってしまう。

「私は朝が早いので、割と余裕があれば、
もう10時には寝る準備をしてますね。
二宮アナは……逆に深夜でしたよね?」

一瞬動揺した私に気づいたのか、さっと回答した八王子アナは、そのまま私に助け船を出す。

「そうですね、深夜ニュースなので、放送直前です。」

どこまで詳しく言えばいいのか分からず、落ち着いて事実のみを答えた。
そんな私の発言に、

「あぁ!『Weekdays night 』ね!
二宮アナ、バラエティは珍しいもんね。」
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