紳士的上司は愛を紡ぐ

その言葉に、ほっと力が抜けそうになるのを堪えて、神谷さんの方を見る。

「本日はお疲れ様でした。
ありがとうございました…!」

精一杯頭を下げると、すぐさま隣に八王子アナが並んだのが分かった。

「お世話になりました。」

共に挨拶をし、顔を上げて神谷さんを見る。
目の前に立つ神谷さんは、今日一番の笑顔を向けてくれた。

「時間を忘れるくらい楽しかったわ。
……また呼んで頂戴。お疲れ様でした。」

そう言って、神谷さんがマネージャーの元へと去っていく背中を見送る。

その途中、彼女は何か思い出したように振り向いた。

「……それと、案外いいコンビね。貴方達。」

最初は、想像つかなかったけど。

と付け足して、優雅な微笑みと共に彼女はスタジオを後にした。


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