紳士的上司は愛を紡ぐ

確かに編集スタッフさんのお力添えのお陰もあり、番組は私自身、収録での予想以上に面白いと感じた。

「でも、ますます人気でしょうね。」

涼子は、溜息交じりにそう呟く。

「それって、八王子アナのこと?」

「そりゃそうよ。それと勿論、麻里もね。」

……私?
いやいや、それはないでしょう。

「当たり前でしょ、この見出しにだって、"上品アナ"って書いてあるんだし。」

トントン彼女はスマホの画面を指す。

"上品アナ"って、一体どこからそのような異名かが出たのだろうか。
注目されるのは、八王子アナだけで十分だと思うのに。

「私は、ゲストと八王子アナの"引き立て役"でいいんだけど……」

私の沈んだ声色に、涼子は少し笑った。
< 41 / 143 >

この作品をシェア

pagetop