紳士的上司は愛を紡ぐ

いや、もうここは、自分はただの"プレゼント貰う係"だと思っちゃえ。
ごめんなさい、颯さん、私はあくまでアナウンサーであって女優じゃないので……!

心の中で言い訳をしながら、クリスマスツリーとソファーが並んだ簡易的なセットに移る。

私の心の内など見えるはずもない颯さんは、目が合うと、またもやキラキラスマイル。

ああ、背景に花が見えそう……。

という私の心の声は押し込み、
クリスマスデートから帰宅後の二人、という設定で、颯さんと並んでソファーに座る。

『Venus』のリサーチ1位に輝く俳優と、ただの局アナによる仮想デート。

果たしてこれは無事成立するのか……?


「んじゃ、お二人お願いしまーす。
用意………はいっ!」


遠藤さんの声が掛かったと同時、

横目で見えるだけでも、隣に座る彼の空気がガラリと変わったのが分かった。
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