紳士的上司は愛を紡ぐ
「クリスマスツリー、綺麗だったね。」
いきなり話題を振られ、慌てて颯さんの方を向くと、そこにはもう先程とは別人だというような、落ち着いた大人の男性がいた。
大きな黒目がちの瞳が、隣に座る自身を覗き込む。
「そ、そう、そうですね。」
我よ、相槌ぐらいで噛むんじゃない。
しどろもどろになりながらも答えると、颯さんはフッと軽く微笑む。
さすがは、人気俳優……
なんて思っていた矢先。
「でもそれ以上に、僕の瞳には、
一番……麻里さんが綺麗に映ってる。」
「………… ゔっ!」
これはマズイ。
え、今、声出てたかな。