紳士的上司は愛を紡ぐ
しかし、よくよく考えれば、
私も含めて元々の世間での "颯リョウ" は、さっきのスーパーイケメンだろう。
前半の収録で、本人が良い意味でそのイメージを崩した為、単に驚きが大きくなっただけ。そういうことにしておこう。
と、内心言いたい放題に八王子アナの居る横のセットに戻る。
「お疲れ様でした〜。颯さん、さすがの演技でしたね。雰囲気がとっても素敵で。」
迎えた八王子アナは、そう言って労う。
「いえ、まだまだです!ただ、二宮アナが落ち着いた方なので、ちょっと大人っぽい雰囲気にしようかと。」
照れながらそう告げる颯さんだが、あの一瞬でそこまで考えてくれたことに驚く。
そうだ、思い返せば颯さんは私よりも5つも歳下の24歳だった。
……こんなアラサーアナ相手に、国宝級の笑顔をありがとう。
心の中で、静かに手を合わせる。