紳士的上司は愛を紡ぐ
「こちらこそ。丁度10回目の『8+2=』も
好成績で放送出来ましたし、今日は、そのお礼も兼ねて。」
乾杯、と何故か彼とミルクティーの缶を突き合わせた。
そのまま一口飲んだ後、沈黙が流れる。
き、気まずい……。
缶を傾け、静かに紅茶飲む彼は、隣の空いていたイスに腰掛けた。
どうやらこの間の収録以降、八王子アナをどこか意識してしまっている自分がいるようだ。
今だって、隣で飲む度に動く彼の喉仏に色気を感じて、目が離せなくなっている。
「ん?」
と、私の視線に気付いた彼が首を傾げる。
「よかったですね、10回目も好評みたいで。」
沈黙に耐えられなかった私は、八王子アナの発言を繰り返した。