紳士的上司は愛を紡ぐ
その週末、土曜日。
珍しく休日が重なった涼子を自宅に呼び、夕食を食べながら、私は八王子アナとの一件について正直に話した。
「なんか、予想以上に進展してるんだけど。」
大まかに理解した彼女は、最初にそう言った。
「予想って?」
「いや、『8+2=』が始まった時から、お似合いかもって冗談混じりに思ってたから。」
お似合いかどうかなんていう話ではない。
今の私は、彼に振り回されっぱなしで、何よりも大事だった"安定性"が欠けている。
まず、この状況をどうすれば良いのかを考えることに必死だ。
「八王子アナといると、落ち着かない。
まだ劣等感があるのか、単に緊張してるのか分からないけど、たまに凄く苦しくなる。」
胸の内を明かす私に、涼子は優しく微笑む。