紳士的上司は愛を紡ぐ
だって、今の周囲の反応は、
───まるで、
私だけが彼を許さないようだから。
いや、むしろ、私が想うことが許されていないのだろう。
昨日彼を好きだと自覚した私と、
ずっと前から抱いてきた彼の想いなど
比べものにならない。
「もっと世間の悲鳴は上がるかと思ってたんだが。全く八王子は強運だよ。」
「ほんとですね。」
「二宮に関してもな。」
……私?
「最初、八王子が指名した時。元々、人気タレントか芸人とMCの予定で"希望あるか?"って聞いたのに、あいつ、
"じゃあ、二宮麻里で" って引かなくて。
でも、俺はお前の力量なんて知らないし。」
まさかそんなやり取りがあったとは。
想像もしていなかった事実に、開いた口が塞がらない。