紳士的上司は愛を紡ぐ
「まぁ結果、お二人さんが良いコンビで。
『8+2=』は好調。
勝手に、見くびってて悪かった。」
ポンっと私の背中を叩いて、遠藤さんは別のプロデューサー達の元へ挨拶に行った。
もし、遠藤さんの言うことが本当だとしたら、彼はどうしてそこまで譲らなかったのだろう。一度も共演したことのない私を、どうして見つけてくれたのだろう。
ただ、それだけで、
単純な心は、彼への好意を積もらせる。
駄目だ。彼には想う人がいる。
期待するなんて以ての外。
ネイルを新調したことも忘れて、拳を握りしめる。手の平に当たる鋭利な爪の感覚が、自身を冷静にしてくれた。
丁度、会議は始まり、局内の年末年始の放送予定をざっと確認する。
その後、各担当プロデューサーが特番の概要、出演者、担当アナウンサーを発表していき……