私を溺愛してください!
「…本当に。…離して、もう帰るから」

そう言って、俺の腕を振り払おうとする葉瑠に、納得いかない俺はその腕を掴んだまま、エレベーターに乗り込んだ。

「…離しなさいよ!貴方って何でそんなに自分勝手なの?」

的を得た言葉に、イライラがつのる。

それでも俺は黙ったまま、ホテルの一室に入るなり、葉瑠をベッドに押し倒した。

葉瑠は俺を睨んだ。

…自分の思うようにならない女は、葉瑠が初めてだった。

「…葉瑠」
「…いい加減にして。私は貴方には付いていけない」

そう言った葉瑠の目から、ポロッと涙が流れ落ちた。

その涙に、胸が締め付けられる。

女の涙に心動かされたのも初めてだった。

泣き叫ぶわけでもない、ただ静かに涙を流す葉瑠を見て、その涙をどうやって止めようかとぐるぐると頭の中で考えた。

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