私を溺愛してください!
6.離す気は更々ない
澪の店に行ってから数日後。

今夜は直接宗吾の家に行くことになっていた私は、仕事を終えるなり、スーパーに立ち寄り、夕飯の買い出しをすると、それを片手に、家に向かった。

貰った合鍵でドアを開けると、リビングに鞄を置き、材料を持って、キッチンに向かう。

エプロンを着けると、料理を始めた。

すると、間もなくして、携帯が鳴った。

「…もしもし?」
『葉瑠?仕事が少し長引きそうだから、帰るのが予定より遅くなる』

宗吾からの電話に、優しく返す。

「…そう、無理しないでね、頑張って」
『ありがとう、それじゃあ…宗吾さん!』

プツッ、と、そこで電話は切れてしまった。

私は、最後の声を聞き逃せなかった。

だって、女性の声。秘書の声じゃない。聞いたことのある声。

「…凛花さん」

携帯を持つ手が震えた。
< 47 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop