私を溺愛してください!
そう言ったのに、相手は宗吾ではなかった。

「…澪くん」
「…宗吾は未だなの?これ、この間時計をうちに忘れていってたから持ってきた…葉瑠さん?」

「…今、何時かな?」
「…え?あー、もう12時だよ。ごめんね!こんな夜遅くに。でも、これないと困るかとおもってって、葉瑠さんどうしたの?」

夢から一気に現実に突き落とされた気がして、涙が頬を伝った。

澪は驚きつつも、突然泣き出した私を自分の胸のなかに閉じ込めた。

「…葉瑠さん…こんなところにいないで帰ろう。何があったか分からないけど、今、宗吾には会いたくないだろう?」

心配そうな顔で私を見下ろしながら、そう言った澪に、涙を拭いながら、小さく頷いた。

「…鞄持ってきて、遅いし、送っていくから」
「…ゴメンね…ありがとう」

そう言うと、鞄を取りにリビングへ。

テーブルの上の携帯を手に取ると、携帯が鳴った。

『宗吾』そう表示された。

出ようか迷っていると、携帯を奪われ、切られた。

「澪くん」
「…宗吾に葉瑠さんを任せておけない。ほら、行こう」

手を掴んだ澪に私はただついていく。

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