私を溺愛してください!
「…葉瑠さん…大丈夫?」

心配そうな顔で、問いかける澪に、心配かけまいと、笑顔を張り付けて頷いて見せた。

澪がエレベーターに乗り込むと、私と宗吾は部屋の中へ。

リビングに入ると、私はあえて、宗吾から離れて座る。

宗吾は勿論困ったような顔をした。

「…葉瑠、遅くなって悪かった」
「…いいの、そんなことで怒らないわ。仕事だもの。どうしても今日中に終わらせなきゃいけなかったのよね」

「…わかってくれてるなら、どうして帰ろうとする?どうしてそんなに傷ついた顔をするんだ?」

分からないといった顔の宗吾。

私は両手を握りしめて、次の言葉を発した。

「…これ以上、不安な想いを抱えたまま、宗吾さんと、一緒にいることはできない。凛花さんの影に怯えて、貴方の立場を悪くしてしまうような自分も嫌。だからお願い、私と別れて」

ずっと心に秘めていた想いを、全て打ち明けた。

「…凛花の事は、気にしなくていいと言った筈だ。仕事上、どうしても顔を会わせなければならないが、それはあくまでも、ビジネスであって、プライベートで彼女と会うことはない。それに、葉瑠が俺の立場を悪くするなんて誰が言った?俺には葉瑠が必要だし、葉瑠以外の女なんて、眼中にない」

それはきっと宗吾の本心なのだろう。でも。
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