私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
翌日。

「おはよう、怜奈」

「あ、おっはよ。もうそんな時間……って思ったら、里美、来るの早くない? まだ出勤まで三十分もあるよ?」

今日のシフトは午後のみの十六時から。渋谷のカフェに立ち寄ってきたけれど、少し早めに店に着いてしまった。というのも……。

「ちょっと遅くなっちゃったんだけど……。これ、早く見せたくて」

クリスマスメニューの看板であるボードが今朝方ようやく出来上がり、袋から出して怜奈に見せた。

「すっごい! 可愛い! これ、里美が全部描いたの?」

「うん、なんかいまさらだけど、ちょっと恥ずかしいな……」

「里美、もしかして徹夜して作ったんじゃない?」

怜奈が心配そうに私の顔を覗きこむ。

「え……?」

確かに昨夜は、ボード作りに夢中になってしまい、結局、一睡もしていない。今朝、自分の顔を見たら目の下にくっきりとクマができていた。なんとか、顔を洗って化粧で誤魔化してきたつもりだったけれど、怜奈にはお見通しのようだった。

「大丈夫。徹夜したけど、あんまり眠たくないんだ。それよりもボードはこんな感じでいいかな?」

「いいもなにも、ほんっと助かる! うち、若い従業員が揃いも揃ってるくせにこういうのできる人、誰もいないんだもの。里美って絵が上手なんだね」

「ほんと? ありがとう」

クリスマスらしくレイアウトしたサンタやベル、そしてメーンのクリスマスメニューのイラストは、どんっと中央にひと際目を引くように描いたつもりだ。文字は白でフォントに強弱をつけて見やすく工夫をしてみた。
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