私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「ごめんなさ――」

「まぁ、おかげで予想以上に集客できたけどな」

「え……?」

その思わぬ言葉に、俯いていた顔をあげて見ると、石堂さんはなんとも言えないような複雑な表情をして一点を見つめていた。

「本部にはいい報告ができそうだな……」

「本部……?」

ぼそりと独り言のように小声で呟く石堂さんの言葉を聞き返す。すると石堂さんの手が伸びてそっと私の頭を撫でた。

「こっちの話だ。気にすんな」

「……はい」

目を細め、口元にはわずかに笑みが浮かんでいる。

「ありがとうな」

仕事ではいつも厳しいけれど、特別な表情を見せてくれているような気がしてドキドキが止まらなくなる。

「……石堂さん、今日は本当にすみませんでした」

「だから余計な心配すんなって、お前がいなくても店はなんとかなる」

「そう、ですよね……」

――私がいなくても。

大した仕事ができるわけではないけれど、いてもいなくても同じと言われたようで、どことなくその言葉がチクリと胸を刺した。

すると……。
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