私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
その日の夕方。
今日は何杯コーヒーを淹れただろう。雅人さんもキッチンに立ちながら、コーヒーを淹れる私のサポートに徹してくれた。ようやく客足が少なくなってきたと同時に一分たりとも休憩を取っていなかったことに気づいて、身体が思い出したかのように疲れで重くなる。
石堂さん、今頃なにしてるのかな――。
早く帰ってきて欲しい――。
仕事中だというのに、ふと石堂さんのことを考えると、止め処もなくその想いが溢れてくる。
その時……。
「ねぇ、里美、窓際に座ってる女性のお客さんなんだけど……里美?」
「あ、う、うん」
怜奈に声をかけられてはっと我に返る。
「これ、里美がさっき淹れてくれたやつだよね?」
怜奈が手にしていたのは、ほんのひと口だけ飲んだ形跡のあるマキアートだった。しかもまだ淹れ立てで温かさが残っていた。
「うん、さっき注文を受けて作ったけど……」
全然飲んで……ない、どうして――?
怜奈は顔を曇らせてなにか言いにくそうにしている。
「なにかあった?」
「う、ううんなんでもないよ、あのお客さん、常連さんなんだけど……ちょっと変わってるから。お会計受けてくるね」
怜奈は首を振りながら笑顔を作る。けれど、あきらかに私に気を遣っているし、ほとんど手をつけていないマキアートが嫌な予感を煽った。
今日は何杯コーヒーを淹れただろう。雅人さんもキッチンに立ちながら、コーヒーを淹れる私のサポートに徹してくれた。ようやく客足が少なくなってきたと同時に一分たりとも休憩を取っていなかったことに気づいて、身体が思い出したかのように疲れで重くなる。
石堂さん、今頃なにしてるのかな――。
早く帰ってきて欲しい――。
仕事中だというのに、ふと石堂さんのことを考えると、止め処もなくその想いが溢れてくる。
その時……。
「ねぇ、里美、窓際に座ってる女性のお客さんなんだけど……里美?」
「あ、う、うん」
怜奈に声をかけられてはっと我に返る。
「これ、里美がさっき淹れてくれたやつだよね?」
怜奈が手にしていたのは、ほんのひと口だけ飲んだ形跡のあるマキアートだった。しかもまだ淹れ立てで温かさが残っていた。
「うん、さっき注文を受けて作ったけど……」
全然飲んで……ない、どうして――?
怜奈は顔を曇らせてなにか言いにくそうにしている。
「なにかあった?」
「う、ううんなんでもないよ、あのお客さん、常連さんなんだけど……ちょっと変わってるから。お会計受けてくるね」
怜奈は首を振りながら笑顔を作る。けれど、あきらかに私に気を遣っているし、ほとんど手をつけていないマキアートが嫌な予感を煽った。