私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「どこまで頑張ればいいの……?」

「努力にゴールなんかない」

「っ!?」

誰もいないと思っていた休憩室に、突如低い声が聞こえてビクッと身体が弾ける。

「なんて顔してんだよ、ブサイク」

顔を上げると、開けっ放しにしてしまったドアの前に石堂さんが腕を組んで立っていた。

え? い、し……どうさん――?

なんで――?

今日は店に来られないと思っていた石堂さんが、今目の前にいる。

「なんでここにいるんだって顔だな。飛ばないと思ってた便が復旧したんだよ、予定より到着は遅れたが……」

どさっと大きなボストンバッグを無造作に下ろすと、石堂さんは私の横へ座った。

「そこ、俺の特等席だぞ」

「すみません……あの、おかえりなさい」

長旅を経て、成田から直接ここへ来たのだろう。なんとなく石堂さんからふわっと異国の香りがした。

「なにがあった?」

「……なんでもありま――」

「なんでもありませんは無し」

今、まさにそう言おうと思っていたのに、先にそう言われてしまい、出かかった言葉が行き場を失ってしまう。
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