私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「私、石堂さんのこと……好きって言ったの覚えてますか? それをわかってて――」

「あの時は熱で頭がおかしくなってただけだろ」

「違います!」

あぁ! もう! やっぱりそう思ってたんだ――。

なぜだか、得体の知れない怒りのようなものがふつふつと沸き上がってくる。すると、石堂さんはまるで面倒くさそうに私を見て言った。

「そういう特別な感情を持たれても困る」

「じゃあどうして、キスしたんですか?」

「どうして? お前が物欲しそうな顔してたからだろ」

石堂さんは、なに食わぬ顔でうそぶく。

も、物欲しそうって――!?

「あのなぁ、お前を一人前のバリスタに仕立てるつもりだけど……それを恋愛感情と勘違いするなよ」

石堂さんにピシャリと言われ、その言葉が私の胸に突き刺さる。

「それに、お前もバリスタとしてまぁまぁ使えるようになってきたからな、閉店後のレッスンももう終りだ」

「え……そんな」

いきなりレッスン終了を告げられて、どうしていいかわからなくなってしまう。
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