私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「あの、石堂さん何かあったんですか?」

「お前に関係ない」

そう言われると思っていたけれど、時折小さく唇を噛む石堂さんの横顔を見ていたら、声をかけずにはいられなかった。

すると。

「あの男、会ったのは今日が初めてか?」

仕事の手を止めたかと思うと、石堂さんが私にそう問う。

「はい、初めてです」

「あの男に近づくなよ、なんか言ってきたら、すぐに俺に言え」

「え……?」

近づくな……って――?

意味がわからない。そんな様子の私に、石堂さんはそれ以上、口を開くことはなかった。


「お疲れさまでした」

今日のシフトは早番で、十六時で仕事は終わる。石堂さんは午後から出かけたようで、帰る時には姿を見かけることはできなかった。雅人さんの笑顔に見送られると、私は早々に私服に着替えて、入れ違いの従業員にも挨拶をして店を出た。
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