私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
石堂さんが私の気持ちを拒否した理由がわかったような気がした。本当に馬鹿みたいだ。そんな身分の人に、厚かましくも告白してしまった自分が。一般庶民の私が、そんな社長令嬢に敵うわけがない。

元々、世界の違う人だったんだ――。

「本当に今日は遅くまでお時間ありがとうございました。こちらも十分にお話ができましたので、あ、タクシー代を――」

「いえ、結構です。まだ電車ありますし、ひとりで帰れますから」

早くこの場から立ち去りたい。私はろくに水谷さんの顔を見ずにペコリと頭を下げると、そのまま飛び出すようにホテルを後にした。
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