私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「……石堂さんには、婚約者がいるからって、すみません……私、そんなこと知らずに、告白……なんか、して」
堪えきれない感情が溢れ出す。言葉は震え、うまく紡げない。
「婚約者? あぁ、またその話か……くそ、あいつ、ベラベラ喋りやがって……」
石堂さんはチッと舌打ちをして、イラついたようにさっと髪をかきあげた。
「石堂さんから今まで色々教わってきたこと……嬉しかったのに……でも、それって全部、マニュアル上のことだったんですね……」
「会社が従業員育成のために、マニュアルを作るのは当たり前だ。それに従業員が倣うのもな」
石堂さんにそう冷静に言われて、私はなにも言えなくなってしまう。
「お前に渡したマニュアルは、スフラの人材開発部で俺が考案し、会議で内容が決定したものだった。それを俺が実際に現場で検証することになっていた。マニュアル制作の責任者としてな」
「そう、だったんですか……」
平常心を保とうと、震える声を何度も何度も呑み込んだ。そんな私を、石堂さんはじっと見据えている。
「わかってます。水谷さんも、いい報告書ができそうだって言ってましたから、だから――」
「違う!」
石堂さんが声を荒らげて私の言葉を鋭く遮った。何か気に触ることを言ってしまったかと思い、恐る恐る彼の顔を見上げる。
堪えきれない感情が溢れ出す。言葉は震え、うまく紡げない。
「婚約者? あぁ、またその話か……くそ、あいつ、ベラベラ喋りやがって……」
石堂さんはチッと舌打ちをして、イラついたようにさっと髪をかきあげた。
「石堂さんから今まで色々教わってきたこと……嬉しかったのに……でも、それって全部、マニュアル上のことだったんですね……」
「会社が従業員育成のために、マニュアルを作るのは当たり前だ。それに従業員が倣うのもな」
石堂さんにそう冷静に言われて、私はなにも言えなくなってしまう。
「お前に渡したマニュアルは、スフラの人材開発部で俺が考案し、会議で内容が決定したものだった。それを俺が実際に現場で検証することになっていた。マニュアル制作の責任者としてな」
「そう、だったんですか……」
平常心を保とうと、震える声を何度も何度も呑み込んだ。そんな私を、石堂さんはじっと見据えている。
「わかってます。水谷さんも、いい報告書ができそうだって言ってましたから、だから――」
「違う!」
石堂さんが声を荒らげて私の言葉を鋭く遮った。何か気に触ることを言ってしまったかと思い、恐る恐る彼の顔を見上げる。