私、それでもあなたが好きなんです！～悩みの種は好きな人～

第九章 運命のいたずら

好きな人に告白をして、想いが伝わらなくても、好きでいることは自由だ。けれど、それはあくまでも自己満足で、これほど虚しいことはない。好きでい続けたって、やっぱり人の心は動かせない。

石堂さんと激しく情熱的な、悲しいキスを交わしてから数日。

今日のスフラは特に混雑しているわけでもなく、穏やかな時間が過ぎていった。

石堂さんは頭の切り替えの早い人で、仕事中は何事もなかったかのようにしていた。私も気持ちを乱されて仕事をしていては、お客さんに迷惑をかけてしまうかもしれないと、その時だけ石堂さんとのことは考えないようにしていた。

けれど、あの情熱的ではあるけれど、気持ちの通わないキスの意味はいったいなんだったのだろう？石堂さんは、私を好きとは言っていない。だったら、どうしてまたキスなんかしてきたんだろう？とそんなモヤモヤしたものが、私の中で渦巻いていた。

はぁ、こんなこと考えながら仕事しちゃだめだよね――。

あ～もう！　ウジウジ考えない――！