私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
お姉ちゃんの……婚約者――?

石堂さんが――?

どういうこと――?

私はその写真を手にしたまま、瞬きも忘れてただ固まるしかなかった。そして、その時、以前スフラの水谷さんが言っていた言葉が脳裏を過ぎった。

――実は、近々石堂はとある大企業社長の令嬢と婚約が決まっていまして。

ま、まさか……その令嬢っていうのが――。

お姉ちゃん、だったの――?

信じられない偶然に、写真を持つ手が細かく震え出す。止められない震えに、きっと寒さで震えているのだと、自分に言い訳したくなる。

「スフラグループの御曹司とせっかく婚約するところまでこぎつけたのに……まさか、こんなところであなたに再会するなんて思ってもみなかったわ」

「……だから私を探してたの? 会いたいって思って探したっていうのは嘘?」

そんなこと、母のなに食わぬ顔を見れば一目瞭然だったのに、思わず私はそう尋ねずにはいられなかった。
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