私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
石堂さんの婚約者が……お姉ちゃんだったなんて――。

誰もいなくなった部屋に静寂が訪れる。ただ聞こえるのは、カチカチと動く時計の秒針の音だけ。

母が言ったことは、全てなにかの間違いだったと言って欲しい。そして私はついに堪えていた感情が爆発し、ローテーブルに突っ伏すと涙が堰を切って溢れ出した。

こんな……こんなことって、ひどすぎるよ――。

私は、テーブルに置き去りにされたスナップ写真を、二度と見ることがないようにギュッと握りつぶした。
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