私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
翌日。

ただでさえ、突然の母との再会に戸惑ってしまったというのに、石堂さんの婚約者が姉だったなんて、その信じられない事実が頭から離れなかった。しかも、いきなりお見合い話を切り出されてしまい、私には選択肢の権利すらない。そんな絶体絶命な状況に、結局一睡もできなかった。

はぁ、ひどい顔――。

化粧をしても誤魔化せないだろう。目元は腫れあがり、顔もむくんでいる。グレーのスウェットの上下を着たままの私は、自分の顔を鏡で見てげんなりした。

カーテンの隙間から、朝日の光が差し込んで、晴天が覗いている。こんなに清々しい天気なのに、私の心は大雨だった。

母は迎えを寄越すと言っていたけれど、午後から仕事がある。

どうしよう――。

時刻は九時を回ったところだった。後、一時間もすれば迎えが来てしまう。

私がお見合いをして、結婚したら――。
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