私、それでもあなたが好きなんです！～悩みの種は好きな人～

「いいじゃない、綺麗よ、里美。サイズもぴったり」

「……そう」

「もう、浮かない顔ね、いい？　お見合いの時はちゃんと愛想よくするのよ？」

そう簡単に愛想よくできるわけないじゃない――。

そう文句を言ってやろうとした時、私のスマホが鳴った。

母がハンドバックからコンパクトを取り出して、自分の顔をチェックしている隙に、私は画面を見た。

え？　石堂さん……？　どうして――？

再びかかってきた石堂さんからの電話に、思わず固まってしまう。

先程、変な電話の切り方をしてしまったから、不審に思われたのかもしれない。

母の目の前で石堂さんからの電話を取ることに躊躇していると、母がいつまでも鳴り続ける着信音に、怪訝そうな顔を向けてきた。

「里美、電話よ」

「う、うん……」

ここで隠れて電話に出たら変に怪しまれてしまう。迫られるような着信音に、私は戸惑いながら通話を押した。