私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「もしもし?」
『おい、いきなり勝手に電話切るな!』
「ッ――!」
電話口で少し苛立ったような石堂さんの声が耳に飛び込んでくる。私は、彼の声が漏れてしまったのでは……?と、ドキドキしながらちらりと母に視線をやった。けれど、母はまったく電話の主に気づかない様子で部屋の窓から外を眺めていた。
「本当に大丈夫なのか?」
『は、はい……少し寝ていれば大丈夫です』
「……本当に、風邪なのか?』
石堂さんの察しの良さに、私は困惑を隠せなくなる。言葉を選んでいる間でさえ、石堂さんに不信感を抱かせてしまう。
「そう、です。なんだか昨夜から身体がだるくて……」
『そうか……。あのさ、お前に言わなきゃならないことがあるんだ』
「え……?」
石堂さんの声のトーンが変わり、“言わなきゃないこと”に耳を傾けようとした時だった。母がカーテンをさっと閉めて、私に向き直ったかと思うと急かすように言った。
「里美、早くしなさい。高速が渋滞してるとグランドパークホテルまで、一時間はかかるわ」
私は咄嗟に受話口を手で押さえたけれど、すでに遅かったようだ。
『え? グランドパークホテル? お前……今、誰といるんだ?』
「え、えっと……すみません!」
石堂さんに聞こえてしまった。訝しげな声を断ち切るように、私はまた彼との通話を一方的に切ってしまった。
石堂さん、ごめんなさい――!
『おい、いきなり勝手に電話切るな!』
「ッ――!」
電話口で少し苛立ったような石堂さんの声が耳に飛び込んでくる。私は、彼の声が漏れてしまったのでは……?と、ドキドキしながらちらりと母に視線をやった。けれど、母はまったく電話の主に気づかない様子で部屋の窓から外を眺めていた。
「本当に大丈夫なのか?」
『は、はい……少し寝ていれば大丈夫です』
「……本当に、風邪なのか?』
石堂さんの察しの良さに、私は困惑を隠せなくなる。言葉を選んでいる間でさえ、石堂さんに不信感を抱かせてしまう。
「そう、です。なんだか昨夜から身体がだるくて……」
『そうか……。あのさ、お前に言わなきゃならないことがあるんだ』
「え……?」
石堂さんの声のトーンが変わり、“言わなきゃないこと”に耳を傾けようとした時だった。母がカーテンをさっと閉めて、私に向き直ったかと思うと急かすように言った。
「里美、早くしなさい。高速が渋滞してるとグランドパークホテルまで、一時間はかかるわ」
私は咄嗟に受話口を手で押さえたけれど、すでに遅かったようだ。
『え? グランドパークホテル? お前……今、誰といるんだ?』
「え、えっと……すみません!」
石堂さんに聞こえてしまった。訝しげな声を断ち切るように、私はまた彼との通話を一方的に切ってしまった。
石堂さん、ごめんなさい――!