私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
今にも泣きそうな顔を見られたくなくて、俯いてじっとしていると、私の手からスマホをひょいっと奪った。

「あっ……!」

「やっぱりね、男の人の声、聞こえたわよ、もしかしてって思ったけど……」

母が私のスマホをいじりながら着信履歴を見て言った。

「返して!」

私はその手から素早くスマホを奪い返すと、母はフンと鼻を鳴らした。

母は電話口から聞こえた声を、石堂さんなんじゃないかと疑って、わざと邪魔して急かすようなことを言ったのだ。母の底意地の悪さに悔しい気持ちが渦巻く。

「私、やっぱり、お見合いなんか――」

「里美、あなたがお見合いに行かないのなら、昨日の写真をマスコミにばら撒いてもいいのよ?」

「な……」

そんなこと、できるわけないって、わかっているくせに……。絶句する私を、母は滑稽だと言わんばかりに目を細めて笑っている。

ひどい、そんなこと……考えてたなんて――。
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