私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「こちらへどうぞ」

運転手から後部座席に座るように促され、私は無言で乗り込んだ。バタンとドアを閉められると、もう逃げられない、という恐怖にも似た挫折感に襲われる。

「今日はいいお天気になって良かったわね」

母が助手席から振り向いて、私に明るい声でそういうけれど、私は返事もせずにただ呆然と外を眺めた。私が無視したことで、一瞬母はムッとして眉間に皺を寄せたが、そんなことはどうでもよかった。

走る車の窓から、雲ひとつない青空が広がっている。

私の心も、こんな空みたいに澄み切っていたら、どんなにいいだろう。そんなことを考えながら、私はぼんやりと外を眺め続け、グランドパークホテルへ向かった。
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