私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「さ、早く座って」
「う、うん……」
手前に座っていた母が一旦席を立ち、きょとんとしている私を、中央に座るように押し込んだ。そして母が私の右隣に座ると、にこにこしながら言った。
「お母さんの再婚相手の方よ、一ノ宮コーポレーションの社長さん。一応あなたの義理の父になるのかしら? 今日は、あなたにひと目会いたいからって、わざわざ時間を作ってくれたのよ」
まばらの白髪頭に櫛を通し、鼻の下には髭が生えている。身なりもきちんとしていて、グレーのジャケットの胸から白いポケットチーフが覗いている。少し小太りで、みるからに社長という恰幅のある風貌だった。一見ひとの良さそうな雰囲気だったが、やはりその笑顔の裏で何を考えているのかわからない。私は左隣に座る一ノ宮さんに身体を向けてぺこりと頭を下げた。
「初めまして、花岡里美です」
「あはは、そんなにかしこまらなくていいんだよ、ただでさえ緊張しているだろう」
一ノ宮さんはにこやかに笑って、私の緊張を和らげようとしてくれた。
「う、うん……」
手前に座っていた母が一旦席を立ち、きょとんとしている私を、中央に座るように押し込んだ。そして母が私の右隣に座ると、にこにこしながら言った。
「お母さんの再婚相手の方よ、一ノ宮コーポレーションの社長さん。一応あなたの義理の父になるのかしら? 今日は、あなたにひと目会いたいからって、わざわざ時間を作ってくれたのよ」
まばらの白髪頭に櫛を通し、鼻の下には髭が生えている。身なりもきちんとしていて、グレーのジャケットの胸から白いポケットチーフが覗いている。少し小太りで、みるからに社長という恰幅のある風貌だった。一見ひとの良さそうな雰囲気だったが、やはりその笑顔の裏で何を考えているのかわからない。私は左隣に座る一ノ宮さんに身体を向けてぺこりと頭を下げた。
「初めまして、花岡里美です」
「あはは、そんなにかしこまらなくていいんだよ、ただでさえ緊張しているだろう」
一ノ宮さんはにこやかに笑って、私の緊張を和らげようとしてくれた。