私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
障子戸が開くと、そこに立つ男性に、私は気のせいではなかったと思い知らされた。

「え……?」

あまりの驚きに、その漏れ出した声が私のものだったのか、母のものだったのかさえわからなくなった。その男性は私の向かいに座るとにこりと笑った。

「い、いい、石堂さん!?」

な、ななな……どうして、ここに――!?

現れた男性にパニックになっているのは、私だけではなかった。両隣で口を開けたまま、母と一ノ宮さんが放心していた。

石堂さんは、深い紺色のスーツを着こなし、髪型も後ろに撫で付けていて、思わず見惚れてしまうほど、かっこよくきめていた。バリスタの黒いロングエプロンも似合うけれど、今、私の目の前にいる石堂さんは、スーツを上品に着こなして、大企業の御曹司に似つかわしい風格が溢れ出ていた。

「ど、どういう……こと? いたっ!」

お前は黙っていろ。と言わんばかりにテーブルの下で石堂さんに軽く足を蹴られて、思わず出た声に慌てて口に手をあてる。
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