私、それでもあなたが好きなんです！～悩みの種は好きな人～
はぁぁ、接客ってこんなに気を遣うなんて――。

怜奈に仕事の流れを教えてもらいつつ、なんとか今日一日乗り切った。土日は休みをもらって、平日は毎日シフトを入れているし、仕事を覚えるにもそう時間はかからないはずだ。仕事終わりにコーヒーを一杯、と思ったけれど、思いのほか混雑していて今日はおとなしく帰ることにした。

今日一日、色々教えてくれた怜奈にお礼が言いたくて、仕事終わりに話しかけようとした。けれど、怜奈は彼氏と待ち合わせているようで、すぐに着替えて店をあとにした。

怜奈に話しかけるタイミングなかったな――。

そう思いながら、休憩室に戻って石堂さんから渡された従業員マニュアルにさっと目を通す。

そこには接客の基本やらコーヒーの淹れ方について、こと細かく記されていた。マニュアルというだけあって、なんとなく堅苦しい規則や対処方法などが書かれている。

なんだか大変そうだけど、頑張ろう――！

マニュアルをバッグにしまい、ちょうど着替えてスマホをチェックしていると、休憩室に雅人さんが入ってきた。
< 50 / 294 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop