私、それでもあなたが好きなんです！～悩みの種は好きな人～

「お疲れさん」

「あ、雅人さん、お疲れ様です」

「あはは、なんだか本当に疲れた顔しているね、初日はどうだった？　ほら、これ慧から」
そう言ってテーブルに置かれたのは、一杯のコーヒーだった。まだ、淹れ立てでほんわかしたコーヒーの香りが私の鼻をくすぐった。

「毎日だと思うなよ、なーんて言ってたけど、初日終わりのご褒美のつもりだろう、あいつも素直じゃなくて可愛くないねぇ」

「え？　石堂さんが？　私に？」

あんなぶっきらぼうで無愛想な石堂さんが、私のために淹れてくれたと思うと無性に嬉しかった。

特にこの後、用事があるわけでもない。せっかくだからゆっくりしていこうと、椅子に座った。早速、そのひとくちを飲むと、一気に疲れが吹き飛ぶような幸せな気持ちになる。