私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
仕事を始めてから怒涛のように一週間が過ぎていった。

教えてもらったことをメモにしながら何度も仕事が始まる前に復習して、失敗のないようにと思っても注文を間違えたり、レジを打ち間違えたり、別の客のところへ飲み物を持っていってしまったりと、なかなか自分の思う通りにいかずはがゆい。週末もどこにも出かけずに、コーヒーの本や雑誌、そしてスフラの従業員マニュアルを読み漁った。

はぁ、お姉ちゃんなら完璧になんでもこなせるんだろうな――。

ふと、優等生だった姉を思い出しては、自分と比較して落ち込む。顔は鏡を写したようにそっくりだったけれど、中身はまったく違った。そして相変わらず石堂さんは、私が嫌いなタイプだからか、あまり話そうとはしてくれなかったし、今はホールの仕事を覚えるため、まだバリスタとしての本格的な仕事は教えてもらっていなかった。早くバリスタとしての仕事を教えてもらいたい!という気持ちばかりが急いてしまう。
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