私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「……ただ純粋に美味しいコーヒーを淹れたい、か。ふぅん、ま、質問が簡単すぎたな」

「え?」

「コーヒーの淹れ方、教えて欲しいんだろ? ただし営業中は無理だ。こっちも教えてやる時間なんてない」

「は、はい!」

「まぁ、ホールの仕事にもだいぶ慣れてきたみたいだし、お前、物覚えは良さそうだからな」

そう言うと、石堂さんが私を見てクイッと口角を上げた。

これってOKってこと……かな――?

もしかして、コーヒーの淹れ方を教えてもらうためのテストだった……とか――?

何はともあれ石堂さんからコーヒーの淹れ方を教えてもらえる。そう思うと嬉しさがこみ上げてきた。

「頑張ります! ありがとうございます!」

「……鬱陶しいやつ」

あまりにも高揚し過ぎて鼻息をフンフン言わせる私を、石堂さんは早く仕事始めろ、と言わんばかりにシッシと手を振った。

やったー! やっと仕事教えてもらえる――!

思わずにやけてしまいそうになる顔を引き締めて、私は休憩室で制服に着替えると、いつものように開店前の掃除に取り掛かった。
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