私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
夜のスフラは昼間とは違い、照明も控えめでまるでBarのような雰囲気だった。BGMもクラシックではなくボサノバが流れていて、客層もひとり客よりもカップルが目立つ。

毎日シフトに入っていたおかげか、覚えることは多かったけれど、ひとしきりホールの仕事もきびきびとこなせるようになった。

午後はたいてい石堂さん、雅人さんがいて、私を含めて三人のアルバイトがシフトに入っている。

石堂さんは主にカウンターにいて、雅人さんは軽食の調理などでキッチンに立っていることが多い。キッチンには雅人さんを手伝うアルバイトがひとり。雅人さんが面接の時に言っていたように、バリスタのアルバイトの子は先日辞めてしまったようで、今は石堂さんがカウンターでバリスタ業務をワンマンでこなしている。

「すみませーん、注文お願いします」

「あ、はい! 少々お待ちくださいませ、すぐ伺います」

昼間の忙しさも知っているけれど、夜も夜で忙しい。客数によっては忙しすぎて手に余る時がある。

こんな時こそ慎重にいかないとね――。
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