私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「花岡さん、悪いね、今夜は忙しいだろう?」
ひょいっとキッチンから雅人さんが顔を出して申し訳なさそうにしている。
「大丈夫です。それにこのあと石堂さんのレッスンもありますし、へこたれてたら体力持ちませんよ、頑張ります」
「あはは、でもあんまり無理はしないでよ?」
「はい」
確かに今夜は混雑している。時間が過ぎるのがあっという間だった。
時計を見ると閉店まであと一時間。石堂さんからコーヒーの淹れ方を教えてもらうというモチベーションでこの忙しさを乗り切るしかなかった。
「ほら、持ってけ、さっきのカフェラテ」
「はい、あ……」
カウンターに出された熱々のカフェラテに細かな花模様の描かれたラテアート。
腕の立つバリスタならではのその技術に、私は思わず目を奪われた。
すごい、綺麗――。
「グズグズすんなよ、冷めるだろ」
「は、はい!」
普段、石堂さんはラテアートなんて描かない。それは、先ほど自分が注文を聞き間違えた時のお客さんへ、ささやかなフォローなのだとすぐにわかった。
「ありがとうございます」
そういうと、石堂さんは返事をすることなく、ふん、と鼻を鳴らして背を向けた。
ひょいっとキッチンから雅人さんが顔を出して申し訳なさそうにしている。
「大丈夫です。それにこのあと石堂さんのレッスンもありますし、へこたれてたら体力持ちませんよ、頑張ります」
「あはは、でもあんまり無理はしないでよ?」
「はい」
確かに今夜は混雑している。時間が過ぎるのがあっという間だった。
時計を見ると閉店まであと一時間。石堂さんからコーヒーの淹れ方を教えてもらうというモチベーションでこの忙しさを乗り切るしかなかった。
「ほら、持ってけ、さっきのカフェラテ」
「はい、あ……」
カウンターに出された熱々のカフェラテに細かな花模様の描かれたラテアート。
腕の立つバリスタならではのその技術に、私は思わず目を奪われた。
すごい、綺麗――。
「グズグズすんなよ、冷めるだろ」
「は、はい!」
普段、石堂さんはラテアートなんて描かない。それは、先ほど自分が注文を聞き間違えた時のお客さんへ、ささやかなフォローなのだとすぐにわかった。
「ありがとうございます」
そういうと、石堂さんは返事をすることなく、ふん、と鼻を鳴らして背を向けた。