私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
第三章 その手の温もり
その日の閉店後。いよいよ石堂さんの初レッスンが始まった。
エントランスのドアにはブラインドとclosedの札が下げられ、ホールの照明は消され、カウンターのみが照らされていた。店には石堂さんと私のふたりきりという状況で異様な緊張感が張り詰めている。サイフォンのフラスコがインテリアのように、煌めいていたけれど、素直に綺麗と思う余裕なんてなかった。
「だめ。やり直し」
「はい……すみません」
これで何度目だろう。
はじめはサイフォン等の器具の使い方を細かく教えてもらった。そして、ひと通り理解したところで石堂さんから自分の好きなようにコーヒーを淹れてみろ、と言われて何度もチャレンジしている。けれど、石堂さんは首を振ってため息をつくばかりで、なかなか美味しいとは言ってくれない。
エントランスのドアにはブラインドとclosedの札が下げられ、ホールの照明は消され、カウンターのみが照らされていた。店には石堂さんと私のふたりきりという状況で異様な緊張感が張り詰めている。サイフォンのフラスコがインテリアのように、煌めいていたけれど、素直に綺麗と思う余裕なんてなかった。
「だめ。やり直し」
「はい……すみません」
これで何度目だろう。
はじめはサイフォン等の器具の使い方を細かく教えてもらった。そして、ひと通り理解したところで石堂さんから自分の好きなようにコーヒーを淹れてみろ、と言われて何度もチャレンジしている。けれど、石堂さんは首を振ってため息をつくばかりで、なかなか美味しいとは言ってくれない。